GREETING
ご挨拶
ご挨拶
総長 藤井輝夫
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大をはじめ、気候変動問題など、人類社会はいま地球規模の困難に直面しており、これに伴って世界各所で社会の分断や格差の問題が露わになってきています。またSDGsの掛け声のもと、人類の共有財産である地球環境の持続可能性を守ることが、世界的な課題となっています。その中で、環境を汚染せず、エネルギー消費が少ない方法を具現化することにより、安全・安心な社会の構築に貢献していくことは科学技術の使命です。これを成し遂げるためには、従来では成しえなかった低環境汚染、希少元素フリー、低コストの材料を短期間で効率よく開発するなど、物質・材料分野におけるイノベーションが不可欠です。
文部科学省が2021年度より開始したマテリアル先端リサーチインフラ事業は、これまでのナノテクノロジープラットフォーム事業で実施してきた設備共用プラットフォームを発展的に継承した事業であり、マテリアルズインフォマティクスを支える材料データを大規模に収集・整理して研究者に提供するという新たな視点が加わっています。マテリアルズインフォマティクスは、効率的に新規材料を開発する手法として期待されており、東京大学はその基盤を支えることにも資する本事業のハブ拠点の一つとして採択されています。21世紀の持続可能な未来社会の構築に向け、本事業を通して東京大学に多くの英知が結集し、世界に貢献する研究が数多く展開されることを願っています。
代表者 幾原雄一
東京大学は、浅野キャンパスにある総合研究機構および武田先端知ビルを拠点に、ナノテクノロジーに関連する微細構造解析および微細加工の研究開発を積極的に進めてきました。これまで、文部科学省ナノテクノロジーネットワーク事業(2007年度~2011年度)、低炭素研究ネットワーク事業(2011年度~2016年度)、ナノテクテクノロジープラットフォーム事業(2012年度~2021年度)等を次々と推進し、世界トップレベルの研究成果を上げるとともに、微細構造解析、微細加工の施設共用・技術支援において多くの実績を積み上げてきました。これら一連の実績が評価され、本学は、2021年度より文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業に採択され、東京大学マテリアル先端リサーチインフラ・データハブ拠点としての活動を開始しました。
当ハブ拠点は、スポーク機関である広島大学、日本原子力研究開発機構と密に連携し、「革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル」技術領域の研究開発・支援に貢献していくことを目的としております。エネルギー関連材料の開発は、環境問題や希少資源問題の克服、カーボンニュートラルの実現などに直結しており非常に重要です。当ハブ拠点では、これまでの微細解析・加工の施設共用・技術支援に加えて、mdx (データ活用型社会創成プラットフォーム)と高度に連携し、マテリアルズインフォマティクスを支える材料データの大規模収集・蓄積・構造化・利活用などを積極的に進めてまいります。これらの活動が、我が国の材料研究を加速し、革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアルの創出へとつながっていくことを期待しています。
関係各位のご理解・ご支援を宜しくお願い致します。